
当たり前のことですが、人生は大いに自分本位に楽しむべきです。たとえなにか障害があってもその中で、いやその限界を超えて人生を楽しむ人たちがいる。癌は「キャンサーギフト」とも言うらしい。つまり癌は自分に起こるべくして出現し、何かギフト(気づき)を与えるために発生するのだと。

入院中の読本にあったこの言葉。初めはまったくギフトの意味がわからなかった。なにかに気づけと言われてもこれから早めに終わろうとする人生の短さや、なぜこうなったかと悲嘆にくれるしかなかった。しかし動かなくなる身体を起こし、死ぬ寸前まで精一杯生きようと奮い立つと一年はあっと言う間に過ぎて、早々にまた釣り場に立っている自分がいました。

治療は今でも継続中で2週間に一度はダウンします。4〜5日は動けずに辛いですが、横になっている間も次に行く釣りのこと、仕事を考えながら妻とゆっくり過ごします。40代までは毎週のように眠る時間も惜しんで仕事の釣りに行っていましたが、今となっては1ヶ月に2回が限度。しかしその2回を仕事として、ライフワークとして充実させるためにあらゆる妄想が僕を前に動かしています。

自身でプロデュースした道具達は週末の釣りも、遠征の釣り旅も、朝夕の日常的な釣りにおいても高い満足と利便性を皆様に提供できるものだと自負しています。

美しい銘木のグリップハンドル、鮮やかなスレッドのブランク、木製のミノー、そうしてランディングネットに大きな息をしながら横たえる鱒がいる。これらが水辺の眼前になった時の格別の嬉しさを皆様に知って欲しい。

カスケットのウッドミノーにはインジェクションでは出せない性能を背負わせる。本流仕様のFOR70Fは鱒が食いやすい水深に止まり続ける比重とリップ抵抗のバランスを追求。堅牢な基盤リップをあえて使っていないのはそのためです。

ブランクもまた堅牢かつ快適、機能がデザインに繋がるカスケットのブランク構成がある。分割構造はハンドルを付け替える楽しみはもちろん、携帯性と破損時の交換も容易なのだ。

失敗だってある。数ある失敗の経験を踏まえてミノーやプラグは修正を繰り返してきた。「静の釣り・デビー」はシルエットを重視しつつ、飛行姿勢も満たす。そして浮き過ぎてはミスバイト、沈み過ぎればバイトなし。この絶妙な浮力調整は試作回数が10回にも渡った昆虫(セミ)に見えないのに釣れる虫系の傑作だ。

僕のキャンサーギフトが何なのか?それはまだうまく言えないけれど、僕は癌になって毎回の釣りがいっそう貴重な時間になりました。水辺で過ごす時間は安息と仕事の緊張感を折半にし、わずかな時間を有意義に、たとえ釣れなくても明日に繋がる経験と充実を自分の記録に残します。そんな積み重なる経験と想いがカスケットの道具達には乗り移っているのです。

僕の釣り、僕の人生の価値観は自分で判断するとして、これからこの身上でカスケットの道具で力強く生きる姿をここに残したい。これからカスケット製品を使う方々に恥じぬよう、もう少し(まだまだ・笑)頑張ります。

僕がここ数年、開発とデザインを続けてきたファルコンは野木さんの卓越した技術によってオールセルロース仕上げの堅牢さを備え、対トラウトルアーとして別格の性能を盛り込んでいます。本日夕方にコンクルージョンとともに少量多種のプラグを販売します。まだ持っていない方、体験しないのは惜しい。ぜひご検討ください。