サイズ#10
鱒と虫、そして毛鉤の徹底的な観察と実証を繰り返した鬼才ゲイリーラフォンテーン氏の名著「ザ・ドライフライ-ニューアングル」の表紙絵にもなったとてもユニークでファジーなフライです。巨匠デイブ・フィットロック氏によるバスバグのタイイングデモを見たラフォンテーン氏の娘ヘザーがイタズラでお父さんのタイイング部屋に忍び込み作った物が原案だそうです。一番の特徴は視認性と魚を引き寄せる能力にあると言われていますおり、ディアヘアを刈り込んだデザインはまさにバスバグのようですが、底面がV字形状になっており、水面に深くめり込みます。ラフォンテーン氏の仮説によると、そのボディが長いハックルに揺られることで、トラウトが側線で感じ取ることができる「圧力波」を水中に生成している可能性があると著書の中で語っています。また晴天の日中、他のフライがダメな時に、大物を誘い出すとも言われています。深く水面にめり込むボディのお陰でラインアイから繋がるティペットが数十センチにわたって水中に沈むことで、余計な乱反射を抑えているのもそういったシビアな状況下で効果がある要因なのではという話もあります。一見リアルさは全くないフライですが、その実力はラフォンテーン氏の検証でも十分実証されている面白いフライです。