2018/08/16TAKE&SONS モールスキンパンツ
ヴィンテージウェアの魅力の一つは「生地」にあると思います。見た時に感じるヴィンテージならではの存在感。どうやらその答えの一つは「織り機」による生地の違いにあるようです。
ことパンツにおいて、昔の物はジーンズ等も含め「シャトル織り機」という機械で織られた生地が多い。最新の織り機は、経糸に強くテンションを掛けて織るため生地が平らで均一。比べて「シャトル織り機」は職人さんが織りスピードをコントロールしながら調子を合わせる手織りに近い感覚。その生産効率は最新機械の1/5〜1/10とも、生地によってはそれ以下とも言われているくらい非効率なのだそう。
しかしその生地には、進化した現代の織り機では出せないムラがあり、個性があります。これが着用や洗濯によって擦れる事で、更に陰影が濃くなり、表情が出るのです。今回入荷したTAKE&SONSのモールスキンパンツもまた、旧式のシャトル織り機で贅沢に織られたヘビー・モールスキン生地を採用。古くは乗馬やワークウェアに用いられ、耐久性はデニムをも上回る高密度な素材。それに日本が誇る職人技を組み合わせる事で、ハリが有るのにしなやか、そしてしっとりとした抜群の肌触りを実現しています。
面白いのはそのデザイン。非常に大きなカーゴポケットが目を引きますが、僕が注目して頂きたいのはそこではありません。パンツの横、サイドに縫い目が無いのです。普通は生地取りなど生産効率を考え、パンツは左右前後の4枚の生地から成る訳ですが、このパンツにはそれが無い。つまり片脚を一枚の生地で継ぎ目無く取っているのです。これにより縫い目が肌に当たらず、着心地が非常に滑らか。
そして生地が素直にストンと落ちるため、履いた時のシルエットが非常に美しい。これは、かの有名なフランス・パリのメゾン”マルタン・マルジェラ”も得意とする手法で……っとスミマセン(汗)ついつい熱くなって話がそれましたが、つまりはいつもの”テイク&サンズ”らしく、とっても贅沢に、手間を掛けて造られた一本。他ではちょっと見る事の出来ないフィールドパンツ、という事なのであります。
本日の道具
テイク&サンズ Field Work Pants
¥31,000+tax
モグラの肌という意味のモールスキン。モグラは触った事ありませんが、このパンツはとってもなめらか。 サイドポケットを大きく作るも、ケータイ等を入れて座った時に脚下に巻き込まないよう”内ポケット”を設けたりと、とにかく凝ってます。 こんなヘビーなモールスキンパンツ、今現在、他に作っているところは…まず無いと思います(汗)